たんの吸引で医療ミス、入院の70代男性が死亡

北海道の苫小牧市立病院は、今月、たんの吸引をする際に器具の使い方を誤り、入院していた70代の男性が死亡したと発表しました。

「100%病院の過失と認識している。大変申し訳ありませんでした」(苫小牧市立病院の会見)

医療ミスで死亡したのは、苫小牧市立病院に入院していた70代の男性患者です。男性は気管を切開して呼吸を確保していましたが、今月、看護師2人がたんを取り除こうとした際、吸入器を気管のチューブの間違った場所に取り付けたため、呼吸ができなくなりました。看護師は、いったん隣の病室の看護にあたっていましたが、およそ2分後に異変に気付いた時には、男性は、すでに呼吸停止の状態で、その後、死亡しました。

病院は「初歩的なミスだった」と話していて、届け出を受けた警察は、業務上過失致死の疑いも視野に調べています。

出展:TBS NEWS

2歳死亡は医療ミス「麻酔管理の注意欠いた」 東京地裁

東京都府中市の榊原記念病院で2006年に入院中の次男(当時2)が死亡したのは医療ミスが原因だったとして、両親が病院を運営する公益財団法人「日本心臓血圧研究振興会」に約6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。手嶋あさみ裁判長は病院側のミスを認め、法人に約3250万円の支払いを命じた。

判決によると、次男は先天性の心疾患があると診断され、同病院で治療を受けていた。06年9月に入院した際、麻酔薬の使用をきっかけに低酸素脳症となり、約3カ月半後に死亡した。判決は、麻酔薬の使用に問題はなかったとしつつ、病院は急変の可能性を念頭に対策を行うべきだったと指摘。麻酔薬の濃度を落とさずに使い続けたことも「注意義務を欠いた」とした。

同病院では06年5月にも、別の女児が同じ症状に陥っていた。判決はこの点にも触れ、「教訓を十分に生かし切れなかった面は否定できない」と指摘した。

判決後に都内で記者会見した父親の清川仁さん(46)は「4カ月前の事故で病院の運営が改善されていたら、息子は命を落とさなかった。判決が医療機関の改善につながれば、息子も報われる」と、涙をこらえながら話した。

同病院は朝日新聞の取材に「情報収集中で、現時点でのコメントは控えたい」としている。(北沢拓也)

出展:朝日新聞DISITAL

千葉大病院 「医療過誤」認めず 記者会見で疑問の声

がんの疑いがあるとされたコンピューター断層撮影装置(CT)検査の画像診断報告書を見落とし、がん患者2人が死亡したことが明らかになった8日の千葉大学医学部付属病院(千葉市中央区亥鼻)の記者会見。「医療過誤」を認めない病院側の姿勢に、記者からは疑問の声が相次いだ。一方、同病院の関係者からは再発防止を望む声が聞かれた。【町野幸、信田真由美、加藤昌平】

午後1時に始まった記者会見には、山本修一病院長、市川智彦、永田昭浩両副病院長が出席した。

同病院によると、昨年7月の50代の男性の受診で報告書の見落としは発覚していたが、全ての診療科に対して、「同様の事案を全て報告するように」と指示した院内調査が始まったのは、同11月になってからだった。

この点について、記者から「もっと早く調査することができなかったのか」と聞かれると、病院側は同9月の段階で、画像診断体制の現状について調査をしており、この段階で問題があると考えられた場合は対応を取っていたと釈明した。

病院側は「体制そのものに不備があるという認識に至った」との理由から「画像診断センター」を新設するなどの再発防止策を発表。これに対して、記者から「医療過誤という認識か」と問われたが、「診療科の担当医師は自身の専門領域を見ることに注力していた。検査を行うべき目的はしっかりとされていて、それ以外のところの確認不足と考えている」との回答に終始した。

病院に目の診察を受けに来た袖ケ浦市の男性(68)は「そういうトラブルがあると不安だ。2人も亡くなるのは、怠慢で責任感がない。人手不足による忙しさもあるのだろうか」と首をひねった。

同病院に勤務する20代の男性職員は「患者の信頼低下につながる恐れがあり、影響が大きいのでは。内部の組織を改革し、院長の指揮でしっかりと再発防止に努めてほしい」と求めた。

出展:毎日新聞

不妊治療で死亡、3医師を書類送検 業過致死容疑 福岡県警

北九州市八幡西区の「セントマザー産婦人科医院」で2016年11月、不妊治療の手術を受けていた福岡県宗像市の女性会社員=当時(37)=の容体が急変し、その後死亡した医療事故で、福岡県警は23日、業務上過失致死の疑いで男性院長(68)と、当時の男性主治医(37)、男性医師(37)の3人を福岡地検小倉支部に書類送検した。捜査関係者によると、医院側は当初、遺族らに対し「医療ミスではない」と虚偽の説明をしていたという。

書類送検容疑は同年11月16日、女性の卵管の詰まりを改善するための腹腔(ふくくう)鏡や子宮鏡手術をした際、主治医が卵管に大量の空気を送り込み、その後、空気塞栓(そくせん)による多臓器不全で死亡させた疑い。男性医師は医療行為を制止せず、院長は主治医への指導監督を怠った疑い。

院長は、人体に危険のない色素水を流す「通水検査」を行い、これ以上の治療は必要ないと判断して手術室から退席。しかし、卵管の通りをさらに良くしようとした主治医が空気を送り込む「通気検査」を繰り返したところ、容体が急変した。女性は意識不明のまま別の病院へ搬送され、約2週間後に死亡した。

捜査関係者によると、同院では日常的に通気検査を実施。通常は30~40CCが目安とされるが主治医は十数回にわたり数百CCを注入した疑いがある。県警は空気の一部が血管に入り、全身の血流が妨げられ多臓器不全を起こしたとみている。

県警の調べに主治医は「卵管を通そうと夢中になって入れすぎてしまった」と容疑を認め、院長と男性医師は「監督したり制止したりすべきだったが(自らの)過失はない」と話しているという。県警は主治医について、起訴を求める「厳重処分」の意見書を付けたとみられる。主治医は既に同院を辞めている。

西日本新聞の取材に対し医院側は「捜査に全面的に協力している。その結果が出ておらず、回答を差し控える」と話した。

=2018/04/24付 西日本新聞朝刊=

出典:西日本新聞

「ガーゼ置き忘れ」医療ミス警鐘 近藤特任助教、論文で事例紹介

手術で体内にガーゼを置き忘れる事例が後を絶たない。千葉大医学部付属病院の近藤健特任助教(総合診療)は、置き忘れの具体的な事例を紹介し、警鐘を鳴らす論文を米医学誌に掲載。「手術の前後でガーゼの数を数えるなど、国がマニュアルを作るべきだ」と訴えている。

医療の質の向上を図るための公益財団法人「日本医療機能評価機構」(東京)の報告書によると、体内にガーゼが残されていたという医療機関からの報告は2014年は28件で、15年に16件に減ったものの、16年は増加して22件だった。だが、この件数も同機構に報告義務がある大学病院や国立病院のみ。私立、個人病院も含めるとさらに増えるが、件数は把握できていない。

10年10月から5年間に同機構に報告があった122件を分析すると、置き忘れの期間は手術当日が最も多かったが、21年以上も6件あった。診療科別では、外科▽心臓血管外科▽産婦人科--の順に多かった。

置き忘れたガーゼに菌が付着していたら合併症を発症する恐れがあり、死亡したケースも報告されている。一方、日本医療安全学会によると、置き忘れ防止のための確認方法などは各医療機関に任されており、共通の手順は定められていない。

近藤特任助教の論文は今年2月、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された。取り上げたのは、40代の女性が、6年前と9年前に帝王切開手術を受け、どちらかの手術でガーゼを置き忘れられたとみられる事例。女性は腹部の膨張感を感じて病院を受診し、レントゲンを撮ったところ、二つのガーゼが見つかった。開腹手術でガーゼを取り除くと、膨張感は解消したという。

女性は帝王切開手術を受けた産婦人科の病院に相談に行ったが、病院はミスとは認めなかったという。一般的に、カルテは法定で義務付けられた5年間しか保管されておらず、他に手術を受けていないことを証明することも難しいという。

近藤特任助教は取材に、「身体的負担に加え、経済的負担をかけることになったのは悲劇だ。医療の治療法などは発展しているが、安全面は進んでおらず、現在の医療システムに警鐘を鳴らしたい」と話している。【信田真由美】

出典:毎日新聞

薬害・医療被害の市民団体、100回へ カルテ開示など成果

薬害や医療ミスの被害者らで作る市民団体と厚生労働省との交渉が今夏、100回を迎える。1984年の第1回から年に数回実施され、市民団体と中央官庁がこれだけ長く話し合いの場を持ち続けているのは極めて異例だ。交渉はカルテやレセプト(診療報酬明細書)の開示を実現させるなど、数多くの成果を上げた。4日には大阪市内で記念集会が開かれる。

第1回は84年2月27日、衆議院第1議員会館で開かれ、19団体計80人が参加した。第1回からほとんどの交渉に出席している大阪市淀川区の岡本隆吉さん(74)は「とても寒い日だったが、交渉は熱気に満ちあふれていた」と思い出す。

71年11月に生後2カ月半の次男を医療ミスで亡くした岡本さん。同じ病院で被害に遭った遺族たちと被害者の会を結成した。民事裁判を起こし、82年に病院側が医療ミスを認めて和解が成立した。医療被害をなくそうと全国の被害者と交流。インフルエンザにかかった子供が解熱剤を服用して急性脳症などの症状を起こす「ライ症候群」の親の会などと連携し、厚生省(現厚労省)との交渉実現に力を注いだ。

交渉は、市民団体の代表らで作る実行委員会が、テーマに応じて担当職員と向き合う。診療情報や医療ミス、臨床研究、陣痛促進剤など問題は多く、朝から夕方まで1日かかる。第100回交渉は7月中に実施予定だ。

再発防止には「医療の情報公開」が必要と訴える岡本さんは「カルテの開示は患者の権利になったが、高額の手数料を徴収し事実上、その権利を制限している医療機関がある。これからも交渉を続けていきたい」と話す。

記念集会では、交渉に出席した被害者らが参加。患者のための医療改革を目指し交流を深める。大阪コロナホテル(大阪市東淀川区)で午後5時から。参加費は会食費を含め3000円。問い合わせ・申し込みは岡本さん(090・4546・4377)。【玉木達也】

出典:毎日新聞

体内にガーゼ置き忘れ 摘出し患者快方へ 長崎大病院

長崎大病院(長崎市)は10日、3月にがんの摘出手術をした県内の60代男性患者の体内に、ガーゼ(縦30センチ、横40センチ)を置き忘れる医療ミスがあったと発表した。男性が腹痛を訴えたため発覚。4月に緊急手術で取り出し、快方に向かっているという。

同大病院によると、男性は3月上旬、肝臓とリンパ節の転移性がんの摘出手術を受けた。患部が深く当初の腹腔(ふくくう)鏡手術から開腹手術に切り替え、患部周辺を押さえるため追加で複数枚のガーゼを持ち込んだ。

同大病院では、手術で使用したガーゼの枚数と記録を点検し、複数の医師がレントゲン画像で体内に残っている物がないか確認した上で、手術を終えることを義務付けているが、見落としていた。4月上旬、男性が転院先の病院で腹痛を訴えたため、検査したところ、ガーゼが体内に残っていることが分かった。摘出した上で男性に謝罪した。

同大病院は「持ち込んだガーゼを数える際に枚数を誤った可能性が考えられる」とし、確認するレントゲン画像をより鮮明にするなどして再発防止を図るという。【浅野翔太郎】

〔長崎版〕

出典:毎日新聞

病院側に1723万円支払い命じる 医療ミス認める/鹿児島

白内障手術での医療ミスが原因で視力をほぼ失ったとして、手術を受けた福岡県筑紫野市の女性が鹿児島県霧島市の隼人福島眼科を運営する医療法人霧島会や担当医に計約2195万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁は22日、病院側に注意義務違反があったと認め、計約1723万円の支払いを命じた。

判決によると、女性は2009年10月、同病院で左目の白内障手術を受けた際、眼圧が異常に上昇。手術がそのまま続行された結果、女性は術後に網膜剥離を発症し、手術前は0・3~0・4だった視力が0・01に落ちた。

秋吉信彦裁判長は、病院の判断について「眼圧が高くなった時点で手術を中止、延期する義務があったのに怠った」と指摘。手術続行と網膜剥離の発症との因果関係を認めた。

判決後の毎日新聞の取材に対し、病院側の代理人は「内容を確認できておらず、話せることはない」としている。【林壮一郎】

出典:毎日新聞

「ガーゼ置き忘れ」警鐘 論文で事例紹介

 手術で体内にガーゼを置き忘れる事例が後を絶たない。千葉大医学部付属病院の近藤健特任助教(総合診療)は、置き忘れの具体的な事例を紹介し、警鐘を鳴らす論文を米医学誌に掲載。「手術の前後でガーゼの数を数えるなど、国がマニュアルを作るべきだ」と訴えている。【信田真由美】

 医療の質の向上を図るための公益財団法人「日本医療機能評価機構」(東京)の報告書によると、体内にガーゼが残されていたという医療機関からの報告は2014年は28件で、15年に16件に減ったものの、16年は増加して22件だった。だが、この件数も同機構に報告義務がある大学病院や国立病院のみ。私立、個人病院も含めるとさらに増えるが、件数は把握できていない。

 10年10月から5年間に同機構に報告があった122件を分析すると、置き忘れの期間は手術当日が最も多かったが、21年以上も6件あった。診療科別では、外科▽心臓血管外科▽産婦人科--の順に多かった。

 置き忘れたガーゼに菌が付着していたら合併症を発症する恐れがあり、死亡したケースも報告されている。一方、日本医療安全学会によると、置き忘れ防止のための確認方法などは各医療機関に任されており、共通の手順は定められていない。

 近藤特任助教の論文は今年2月、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された。取り上げたのは、40代の女性が、6年前と9年前に帝王切開手術を受け、どちらかの手術でガーゼを置き忘れられたとみられる事例。女性は腹部の膨張感を感じて病院を受診し、レントゲンを撮ったところ、二つのガーゼが見つかった。開腹手術でガーゼを取り除くと、膨張感は解消したという。

 女性は帝王切開手術を受けた産婦人科の病院に相談に行ったが、病院はミスとは認めなかったという。一般的に、カルテは法定で義務付けられた5年間しか保管されておらず、他に手術を受けていないことを証明することも難しいという。

 近藤特任助教は取材に、「身体的負担に加え、経済的負担をかけることになったのは悲劇だ。医療の治療法などは発展しているが、安全面は進んでおらず、現在の医療システムに警鐘を鳴らしたい」と話している。


ガーゼを置き忘れた期間

         件数

0日(手術当日) 38

1日(手術翌日) 11

1週間未満    17

1カ月未満    14

1年未満      7

2年未満      0

2~5年      5

6~10年     3

11~20年    4

21~30年    3

31~40年    2

41~50年    1

記載なし・不明  17

置き忘れが多い診療科

       件数

外科     31

心臓血管外科 18

産婦人科   16

麻酔科     8

形成外科    7

泌尿器科    7

婦人科     7

 (いずれも日本医療機能評価機構への2010年10月~15年9月の報告分から)

出典:毎日新聞

遺族らに医療ミス報告せず 不妊治療後に女性死亡

不妊治療が原因で女性が死亡したとして、北九州市の産婦人科医院の院長らが書類送検された事件で、この医院は当初、遺族らに医療ミスを報告していなかったことが分かりました。

おととし11月、北九州市の「セントマザー産婦人科医院」で、当時37歳の女性が不妊治療中に容体が急変し、半月後、多臓器不全で死亡しました。警察は、治療の際に子宮内に大量の空気を送り込み、血管に空気が流れ込んだことが死因とみて、治療した医師の男2人と田中温院長(68)を23日、業務上過失致死の疑いで書類送検しました。捜査関係者によりますと、医院は当初、遺族らに医療ミスがあったことを報告していなかったということです。医院側は「捜査に協力している現段階でコメントはできない」としています。

出典:テレ朝news