下腹部の痛みを訴えて横手市立横手病院を受診した40代女性が死亡したのは医療ミスが原因だとして、遺族が市に約1億900万円の損害賠償を求めた訴訟で、遺族は11日、医師の過失を否定した仙台高裁秋田支部判決を不服として上告した。判決によると、女性は2014年6月、下腹部痛などから消化器内科を受診し、腸閉塞(へいそく)と診断されたが、女性は月経との関連性を主張した。同年8月に女性が死亡した後の病理解剖の結果、死因は回腸子宮内膜症による敗血症性ショックと判明した。
出典:河北新報
下腹部の痛みを訴えて横手市立横手病院を受診した40代女性が死亡したのは医療ミスが原因だとして、遺族が市に約1億900万円の損害賠償を求めた訴訟で、遺族は11日、医師の過失を否定した仙台高裁秋田支部判決を不服として上告した。判決によると、女性は2014年6月、下腹部痛などから消化器内科を受診し、腸閉塞(へいそく)と診断されたが、女性は月経との関連性を主張した。同年8月に女性が死亡した後の病理解剖の結果、死因は回腸子宮内膜症による敗血症性ショックと判明した。
出典:河北新報
画像診断でがんの見落としが続発している。
昨年1月、東京慈恵医科大学病院(東京・西新橋)で主治医がCT(コンピューター断層撮影)検査の画像診断の結果を見落として、70歳代の男性が死亡した。これ以降、同年10月には名古屋大学病院、今年6月には千葉大学病院と横浜市立大学病院、翌7月には東京都杉並区の民間病院で、がんの見落としが発覚した。
千葉大病院のケースでは患者9人に画像診断ミスがあり、そのうち4人の治療に影響し、2人が死亡している。
これまで厚生労働省は全国の病院に文書で注意喚起を求めてきた。だが、見落としが相次ぐ背景には、画像診断技術の高度化にともなって情報量が急増し、病院側が十分に対応できなくなっていることがある。その結果、画像診断を担当する放射線科医と患者の主治医との連携不足が生じている。
慈恵医大病院で見落としによる患者死亡という医療事故が発覚したのは、2017年1月31日のNHKの報道がきっかけだった。
患者は東京都町田市に住む72歳の男性で、1年前のCT検査で肺がんの疑いがあった。しかし、主治医が検査結果を確認せず、約1年間も放置した。がんは処置ができないほど進行し、男性は2017年2月16日に亡くなった。
担当医が検査結果を見逃す。考えられない医療事故だ。大病院がなぜ、こんな単純なミスを犯すのだろうか。
慈恵大病院で死亡した男性の妻も、別の大学病院で医療事故に遭って死亡している。夫婦そろって理不尽な医療事故に巻き込まれていたのである。
今年(2018年)6月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は31件。医療事故調査制度発足から、累計1028件の医療事故が報告され、うち7割超の728件で院内調査が完了。各医療機関の調査スピードがますますアップしている―。
日本で唯一のセンターとして指定されている「日本医療安全調査機構」が7月9日に、こういった状況を公表しました(機構のサイトはこちら)。もっとも、機構では「事故発生から報告までの期間が延びている」とのデータも発表しており、今後、時期を見て詳細な分析を行うことが必要でしょう(関連記事はこちら)。
2015年10月から、すべての医療機関において、院長など管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてをセンターに報告することを義務付ける「医療事故調査制度」がスタートしました。この制度では、事故の原因を調査し、明らかにする中で、「再発防止策」を構築し、広く共有することを目的としています。
センターでは、これまでに重大な事故について詳細を分析し、(1)中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―(2)急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析(3)注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析(4)気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析—という4つの再発防止策を公表しています。
医療事故調査制度の大きな流れを確認すると、▼医療事故発生を確認した管理者は速やかに、センターに事故発生の旨を報告する → ▼当該医療機関で事故原因を調査【院内調査】し、調査結果をセンターに報告する → ▼当該医療機関は、調査結果に基づいて事故の内容や原因について遺族に説明する(調査結果報告書などの提示までは不要) → ▼センターが事故事例を集積、分析し具体的な再発防止策などを練る—というものです(関連記事はこちら)。
我が国唯一のセンターである日本医療安全調査機構は、毎月、医療事故報告の状況を極めて迅速に公表(前月の状況は こちら、前々月の状況はこちら)。今年(2018年)6月には、新たに31件の医療事故が報告され、制度発足からの累計報告件数は1028件と、1000件の大台に乗りました。
2018年6月に新たに報告された事故の内訳は、病院からが29件、診療所からが2件で、制度発足からの累計では、病院から965件(事故全体の93.9%)、診療所から63件(同6.1%)となっています。
2018年6月に新たに報告された事故を診療科別に見ると、▼外科5件▼消化器科3件▼整形外科3件▼循環器内科3件▼心臓血管外科3件―などで多くなっています。制度発足からの累計を見ると、▼外科176件(同17.1%)▼内科130件(同12.6%)▼消化器科89件(同8.7%)▼整形外科87件(同8.5%)―などという状況です。徐々に「さまざまな診療科で事故が報告されてきている」状況が伺えます。
前述のとおり、センターに報告しなければならない医療事故は、医療機関内で生じたすべての死亡・死産事例ではなく、そのうち「院長などの管理者が▼予期しなかった▼医療に起因し、または起因すると疑われる—もの」に限定されます。例えば、火災などに巻き込まれ瀕死の状態で救急搬送され、適切な治療を施したにも関わらず死亡してしまった場合には、一般に「死亡が予期される」ため報告の必要はありません。しかし、そうした患者であっても、例えば明らかな処置のミスなどがあり、通常の治療過程とは異なるプロセスで死亡した場合には、「予期されなかった」ものとして報告が必要となります。
医療現場では「患者が死亡したが、報告すべき医療事故に該当するか?」という疑問が生じることもあるでしょうし、初めて事故報告をする際には「センターへどのように報告すればよいのか」との疑問も生じるでしょう。また、遺族が「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていない。事故を隠蔽しようとしているのではないか」といった疑念を抱くこともあるでしょう。
これらの疑問・疑念を放置することは制度の信頼を揺るがすため、センターでは相談対応を行っています。今年(2018年)6月には、新たに185件の相談がセンターに寄せられました。制度発足からの累計相談件数は5302件にのぼっています。
2018年6月に寄せられた新たな相談の内訳は、▼医療機関から67件▼遺族などから110件▼その他・不明8件―となっています。
医療機関からの相談内容を見ると、もっとも多いのは「報告の手続き」に関するもので45件(医療機関からの相談の67.2%)。次いで「院内調査に関するもの」が17件(同じく25.4%)、「報告すべき医療事故か否かの判断」が11件(同じく16.4%)となりました。制度発足から3年近くが経過しており医療現場へ制度が浸透していること、また2年前(2016年6月)に医療事故調査制度の運用改善(医療事故該当性の判断などを標準化するための「支援団体等連絡協議会」を設置するなど)が行われたため、事務的な相談が大半を占める状況になっていると言えます(関連記事はこちらとこちら)。
一方、遺族などからの相談内容を見ると、依然「医療事故に該当するか否かの判断」が大半を占め、83件(遺族などからの相談の75.5%)となっています。またこうした該当性に関する相談の中には、「制度開始前の事例」「生存事例」など、そもそも報告対象とならないものも含まれており、「医療現場と一般国民との医療事故調査制度に対する認識のズレ」が拡大していく点が気になります。医療現場が正しく報告し、センターで適切に制度を運用しても、一般国民から疑念の目で見られてしまっては、制度運用の礎となる「信頼感」が失われてしまう可能性もあるためです。さまざまな機会を通じて、これまで以上に、一般国民に医療事故調査制度を周知していくことが必要でしょう。
上述したように、医療事故調査制度の目的は「再発防止」にあります。このため、事故が発生した医療機関が、自ら原因究明に向けた調査【院内調査】を行い、それを踏まえて自院の体制を点検し、再発防止策を構築することが重要です。
今年(2018年)6月に新たに院内調査が完了した事例は31件で、制度発足からの累計では728件となりました。これまでに報告された全1028件の医療事故のうち70.8%で院内調査が完了したことになり、7割の大台に乗りました。院内調査スピードが向上していることを再認識できます。
ところで、遺族の中には「院内調査の結果に納得できない」「院内調査が遅い。時間稼ぎをしているのではないか」と感じる人もいることでしょう。またクリニックなど小規模医療機関等では「自院で院内調査を実施することが難しい」ケースもあるでしょう(医師会や病院団体などの支援団体によるサポート体制もある)。
そこで、センターでは、「遺族や医療機関からの調査依頼を受け付ける」体制も整えています。ここでは「院内調査が時期・内容ともに適正に実施されたか」という観点での調査が中心となります。
この点、今年(2018年)6月に、センターになされた調査依頼は4件ありました。すべて遺族からの調査依頼で、制度発足からの累計調査依頼件数は69件(遺族から54件・78.3%、医療機関から15件・21.7%)で、進捗状況を見ると、▼センター調査終了が5件▼院内調査結果報告書の検証中(院内調査が適切に行われたかどうかを確認)が63件(前月より3県増)▼院内調査結果報告書検証準備産業中が1件—となり、順調にセンター調査が行われていることが伺えます。
東海、知多両市でつくる西知多医療厚生組合の公立西知多総合病院(東海市中ノ池3)は31日、病理検査の検体取り違えなどによって生じた2016~17年の2件の医療事故について、賠償金を支払うことで患者側と和解したと発表した。
事故は▽16年12月、放射線科医師によるCT(コンピューター断層撮影)の画像診断報告書(電子カルテ)を主治医が見落とし、70代男性患者のS状結腸がんの治療開始が遅れた▽17年6月、転移性胃がんだった80代男性患者の検体を他の患者の検体と取り違え、胃潰瘍と誤診され適切な治療が受けられなかった--の2件。
同病院によると、1件目の患者は現在、県がんセンターに転院して治療しており、500万円の損害賠償金を支払うことで和解した。2件目の患者はその後死亡し、相続人から損害賠償の申し出があり、賠償金250万円を支払うことで和解した。
同病院では電子カルテシステムや検体の管理法を改善し、再発防止を図るとしている。【林幹洋】
出典:毎日新聞
兵庫県は22日、県立がんセンター(明石市)で、子宮頸がん手術を受けた40代女性患者のコンピューター断層撮影装置(CT)の画像診断で肺への転移を見落とし、今年4月まで3年間放置していたと発表した。肝臓への転移も見つかり、現在は通院治療している。
県によると、女性は2009年に子宮を全摘出し、15年4月にCT検査を受けた。放射線科医が「肺に転移性の腫瘍の疑いがある」とカルテ上で指摘していたが、男性主治医が確認を怠った。今年4月のCT検査で、腫瘍が大きくなり数も増加していることが分かり、過去の画像を確認して医療ミスが判明した。(共同)
出典:毎日新聞
茨城県取手市のJAとりで総合医療センターで、龍ケ崎市の女性(当時64)が死亡したのは医療ミスが原因だったとして、遺族がセンターを運営する県厚生農業協同組合連合会と担当医師ら3人を相手取り、慰謝料2500万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、水戸地裁土浦支部(松田典浩裁判長)であった。被告のJA県厚生連側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を見せた。
検査結果を見落とし、胃がん治療7カ月遅れる
訴状によると、女性は2016年1月15日に脳出血で倒れ、同センターで手術を受けた。翌16日、自発呼吸がみられると判断した担当医師が人工呼吸器の気管チューブを抜いた後、女性は呼吸ができなくなり、いったん蘇生したが、酸素が十分に吸入できない状況が続いたことから、同日に低酸素脳症で死亡した、と主張している。
遺族は「それまで改善傾向だったが、気管チューブを抜いた後に急変した。病院側には誠実な対応をしてほしい」と話した。センター広報室は「主張は裁判の中で明らかにする」としている。
出典:朝日新聞DISITAL
県立静岡がんセンターは14日に記者会見し、抗がん剤の投与ミスで昨年9月に県東部に住む60代の男性が死亡する医療事故があったと発表した。抗がん剤の副作用で肝機能が低下していたのにも関わらず、担当医が投与を続けたのが原因。抗がん剤投与のチェック体制を強化する再発防止策をとった。
センターによると、男性は直腸がんが肝臓に転移した末期患者で、昨年7月中旬から内服の抗がん剤治療を通院しながら受けた。この抗がん剤は肝機能障害の副作用の恐れがあり、治療計画は「3週間の服用後に投与を1週間やめる。週1回の血液検査で肝機能に問題がなければ投与を続ける」となっていた。
投与休止期間の4週目に実施した血液検査が肝機能の急低下を示したが、担当医は検査データをカルテに記載せず投与を継続。男性は8月下旬に肝機能障害を起こし緊急入院、10日後に肝不全で死亡した。担当医は病院の調査に「肝機能が悪化したデータを確認したか記憶がない」などと説明しているという。
センターは今年5月、遺族と示談が成立した。センターは「内服型の抗がん剤は点滴型に比べてデータのチェックが甘かったが、薬剤師と看護師にもチェックを義務付けた。ご家族に心よりおわび申し上げる」としている。【島田信幸】
出典:毎日新聞
今年(2018年)5月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は32件。医療事故調査制度発足から、累計997件の医療事故が報告され、うち69.9%で院内調査が完了。各医療機関の調査スピードが確実に向上している―。
日本で唯一のセンターとして指定されている「日本医療安全調査機構」が6月5日、こういった状況を公表しました(機構のサイトはこちら)。ただし、医療安全調査機構では「事故発生から報告までの期間が延びている」とも考えており、今後、時期を見て詳細な分析を行うことが必要でしょう(関連記事はこちら))。
ここがポイント! [非表示]
2015年10月から医療事故調査制度が始まりました。すべての医療機関で、院長など管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてをセンターに報告することを義務付けるもので、事故の原因を調査・救命する中で「再発防止策」を構築し共有することが目的です(関連記事はこちら)。
センターでは積極的に再発防止策を構築しており、これまでに(1)中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―(2)急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析(3)注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析—が公表されています。
医療事故調査制度の大きな流れを確認すると、▼医療事故発生を管理者が確認した場合、速やかにセンターに実行発生を報告する → ▼当該医療機関で事故原因を調査【院内調査】し、調査結果をセンターに報告する → ▼当該医療機関が、調査結果に基づいて事故の内容や原因について遺族に説明する(調査結果報告書などの提示までは不要) → ▼センターが事故事例を集積、分析し具体的な再発防止策などを練る—というものです(関連記事はこちら)。
我が国唯一のセンターである日本医療安全調査機構は、毎月、医療事故報告の状況を極めて迅速に公表しています(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら)。今年(2018年)5月には、新たに32件の医療事故が報告され、制度発足からの累計報告件数は997件となりました。
新たに報告された事故の内訳は、病院からが30件、診療所からが2件で、制度発足からの累計では、病院から936件(事故全体の93.9%)、診療所から61件(同6.1%)となっています。
新たな事故を診療科別に見ると、▼整形外科5件▼消化器科4件▼泌尿器科4件▼内科3件▼産婦人科3件―などで多くなっています。制度発足からの累計を見ると、▼外科171件(同17.2%)▼内科129件(同12.9%)▼消化器科86件(同8.6%)▼整形外科84件(同8.4%)―などとなっています。
前述のとおり、センターに報告しなければならない医療事故は、死亡・死産事例のうち「院長などの管理者が▼予期しなかった▼医療に起因し、または起因すると疑われる—」ものに限定されます。例えば、火災などで瀕死の状態となり救急搬送され、適切な治療を施したにも関わらず死亡してしまった場合には、一般に「死亡が予期される」ため報告の必要はありません。ただし、そうした患者でも通常の治療過程とは異なるプロセス(例えば、明らかな処置のミスなど)で死亡した場合には、「予期されなかった」ものとして報告しなければなりません。
この点、医療現場では「患者が死亡したが、報告すべき医療事故に該当するか?」という疑問が生じることでしょう。また、初めての報告などでは「センターへの報告方法」に関する疑問も当然生じます。一方、遺族側が「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていない。医療機関側が隠蔽しているのではないか」といった疑念を抱くこともあります。
これらの疑問・疑念を放置することは許されず、センターでは相談対応を行っています。今年(2018年)5月には、新たに171件の相談がセンターに寄せられました。制度発足からの累計相談件数は5117件にのぼりました。
新たな相談の内訳は、▼医療機関から87件▼遺族などから76件▼その他・不明8件―となっています。
医療機関からの相談内容を見ると、「報告の手続き」がもっとも多く65件(医療機関からの相談の74.7%)。次いで「院内調査に関するもの」が16件(同じく18.4%)、「報告すべき医療事故か否かの判断」が10件(同じく11.5%)となりました。制度発足から2年半が経過し、また一昨年(2016年)6月に医療事故調査制度の運用改善(医療事故該当性の判断などを標準化するための「支援団体等連絡協議会」を設置するなど)が行われており、医療現場に制度が定着してきていると言えるでしょう(関連記事はこちらとこちらとこちら)。
一方、遺族などからの相談内容を見ると、依然として「医療事故に該当するか否かの判断」が圧倒的多数を占め、60件(遺族などからの相談の78.9%)となりました。一般国民の制度への理解が十分進んでおらず、「医療現場と一般国民との意識のズレ」が拡大していく点が気になります(制度への信頼が失われてしまう可能性もある)。なお、相談の中には、「制度開始前の事例」「生存事例」など、そもそも「報告すべき医療事故でない」ものもあり、さらなる「制度の普及・啓発」が必要な状況です。
医療事故調査制度の目的は「再発防止」です。このため、事故が発生した医療機関が自ら、原因究明に向けた調査【院内調査】を行い、それを踏まえて自院の体制を点検し、再発防止策を練ることが重要と考えられています。
今年(2018年)5月に新たに院内調査が完了した事例は36件で、制度発足からの累計では697件となりました。これまでに報告された全997件の医療事故のうち69.9%で院内調査が完了。院内調査スピードはさらに向上しています。
ところで、遺族の中には「院内調査の結果に納得できない」「院内調査が遅すぎる。時間稼ぎをしているのではないか」と感じる人もいるでしょう。一方、小規模医療機関等では「自院だけで院内調査を実施することが難しい」ところもあるでしょう(医師会や病院団体などの支援団体によるサポート体制もある)。
そこで、センターでは、「遺族や医療機関からの調査依頼を受け付ける」体制も整えています。「院内調査が時期・内容ともに適正に実施されたか」という観点での調査が中心となります。ただし今年(2018年)5月に、センターになされた調査依頼はゼロ件でした(前月に続きゼロ件)。制度発足からの累計調査依頼件数は65件(遺族から50件・76.9%、医療機関から15件・23.1%)で、▼センター調査終了が5件▼院内調査結果報告書の検証中(院内調査が適切に行われたかどうかを確認)が60件—で順調に進んでいることが分かります。
出典:メディ・ウォッチ
新潟市民病院は6日、食道の内視鏡手術を受けた男性患者に薬剤を誤った方法で投与し、その後男性が死亡する医療事故が2016年にあったと発表した。事故原因の調査を続けてきた病院は医療ミスを認め、2千万円を賠償することで遺族と和解した。
病院によると、死亡したのは新潟市の当時70代男性。食道がん切除のため、16年10月に内視鏡手術を受けた。手術中に男性が激しく動いたため、医師が複数の鎮静剤を投与したところ、相互作用により薬が過剰に効き、自発呼吸が停止した。呼吸は回復したものの、直後に心筋梗塞を発症し、手術の2日後に死亡した。
病院は、医師が鎮静剤を併用する際の注意を怠り投与したことが呼吸停止の原因とし、その後の心筋梗塞につながった可能性を認めた。
片柳憲雄院長は「遺族の皆さまに心からおわび申し上げます。再発防止策を確実に実施するとともに、信頼の回復に努めてまいります」とコメントを出した。
出典:新潟新報
診療後に腕などに障害が残ったのは秋田大医学部付属病院(秋田市)のミスが原因だとして、秋田市の50代女性が15日までに、秋田大に約4800万円の損害賠償を求める訴えを秋田地裁に起こした。
訴えによると女性は2016年9月26日、胸の痛みを訴えて同病院に搬送された。対応した研修医は、指導医の立ち会いがないまま女性の右腕の血管に針を刺す処置をした。その際に神経を傷付け、痛みを訴えても中断しなかった。
女性は処置後、右腕などの動きが不自由になり、右手の握力がなくなるなどして身体障害者3級の認定を受けた。
女性は病院側の対応は注意義務違反だと主張している。秋田大は「弁護士と協議した上で対応を検討する。主張は第1回弁論で明らかにする」とコメントした。
出典:河北新報