県立がんセンター新潟病院で検査結果見落とす医療事故2件

県立がんセンター新潟病院(新潟市中央区)は26日、がんの疑いがあるとの所見が出された画像検査の結果を医師が見落とし、患者2人の治療が遅れる医療事故が起きたと発表した。病院側は患者や家族に謝罪した。2人とも命に別条はないという。

同病院によると、燕市に住む70代の男性が胃がん手術後の定期検査の結果、肝臓がんの疑いが生じたことから、平成26年10月にPET(陽電子放射断層撮影)やCT(コンピューター断層撮影)などによる検査を受けた。しかし、肝臓がんの所見が書かれた検査結果報告書の確認を主治医が怠り、今年9月の定期検査で見落としが分かった。

このため10月に肝臓がんを切除し、患者は退院した。約11カ月前に2センチ弱だった肝細胞がんの疑いのある腫瘍は、治療が施されなかったため手術時には2センチ強に増大していた。

同病院によると、主治医と検査部門の連携ミスで、検査結果の確認予定日が電子カルテに入力されていなかったのが原因という。

また、10月に検査結果報告書を一斉点検したところ、新潟市に住む60代の女性が27年3月に受けたCT検査でも、別の主治医が腎臓がんの所見が記載されていたCT検査結果報告書を確認せず、約半年間にわたって治療方針が確定しない医療事故を起こしていたことが判明した。

検査を依頼した医師が退職し、確認予定日には後任の主治医が血液検査の結果だけ確認したという。病院側は、引き継ぎが不十分だったとしている。この患者は経過観察となった。

病院内で開いた記者会見で、佐藤信昭院長は「重く受け止めている。未閲覧のチェックシステムはあったが(見落としのない)『完全閲覧』を促すまではいかなかった。再発防止に全力を尽くす」と謝罪した。

同病院では21年12月、がんの所見を見落とされて治療が遅れた男性が亡くなる医療事故が起きている。

出典:産経ニュース

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