投与ミスで死亡 抗癌剤データ記録せず 静岡がんセンター

 県立静岡がんセンターは14日に記者会見し、抗がん剤の投与ミスで昨年9月に県東部に住む60代の男性が死亡する医療事故があったと発表した。抗がん剤の副作用で肝機能が低下していたのにも関わらず、担当医が投与を続けたのが原因。抗がん剤投与のチェック体制を強化する再発防止策をとった。

 センターによると、男性は直腸がんが肝臓に転移した末期患者で、昨年7月中旬から内服の抗がん剤治療を通院しながら受けた。この抗がん剤は肝機能障害の副作用の恐れがあり、治療計画は「3週間の服用後に投与を1週間やめる。週1回の血液検査で肝機能に問題がなければ投与を続ける」となっていた。

 投与休止期間の4週目に実施した血液検査が肝機能の急低下を示したが、担当医は検査データをカルテに記載せず投与を継続。男性は8月下旬に肝機能障害を起こし緊急入院、10日後に肝不全で死亡した。担当医は病院の調査に「肝機能が悪化したデータを確認したか記憶がない」などと説明しているという。

 センターは今年5月、遺族と示談が成立した。センターは「内服型の抗がん剤は点滴型に比べてデータのチェックが甘かったが、薬剤師と看護師にもチェックを義務付けた。ご家族に心よりおわび申し上げる」としている。【島田信幸】

出典:毎日新聞

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