術中に数え間違え検査でも見落とす…ガーゼ忘れ

千葉県がんセンター(千葉市中央区)は6日、昨年12月に行った県内の60歳代女性に対する腎臓がんの摘出手術で、体内に医療用ガーゼを残す医療ミスがあったと発表した。

2か月後の検査で発覚し、取り除いた。手術中に看護師が枚数を数え間違え、医師も翌日のエックス線検査で見落とした。

発表によると、ミスがあったのは泌尿器科で、昨年12月上旬、医師、看護師計7人で女性の腎臓を腹腔ふくくう鏡手術で全摘出した。長さ15センチ、幅3センチのガーゼを12枚使ったが、体内に1枚残った。看護師が使った枚数と取り出した枚数を数え間違えた。

翌日、エックス線検査をした医師が映っていた異物を見落とした。女性はいったん退院したが、2月上旬に腸閉塞で緊急入院し、検査でミスが発覚。開腹手術で取り除き、女性は3月上旬に退院した。

同センターによると、ガーゼの取り残しミスは2009年にも1件あった。この際は術後24時間以内に発見し、取り除いたが、再発防止策は十分でなかった。

今回のミスを受け、同センターは〈1〉切開部を閉じる際、医師と看護師でガーゼを数える〈2〉専用用紙に載せてガーゼを数える〈3〉全身麻酔が効いている間にエックス線撮影を行う――という対策を決めた。

同センターは5日、ミスについて患者と家族に原因と対策を報告し、今後、補償する方針。永田松夫病院長は記者会見で「医療の安全確保に最善を尽くし、再発防止に病院全体で取り組む」と陳謝した。

今回の県がんセンターのミスは、乳がん患者の検体を取り違え、乳房を全摘出した事故の原因調査が進んでいる最中に院内で発覚していた。

同センターでは2008~14年、腹腔鏡手術を受けた患者11人が術後に死亡。医療安全管理体制を強化し、改革に取り組んでいたが、乳腺外科と病理検査科での検体取り違えミスが昨年12月に発覚した。

検体取り違えと今回のガーゼの取り残しは、「確実にチェックすれば防げる単純ミス」(県幹部)。永田松夫病院長は「改革の意識、本当の改革がまだまだと反省している。ミスが続いたことは申し開きできない」と述べた。

出典:YOMIURI ONLINE

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