肺がん見落とし 3年後に末期診断、死亡 名古屋大病院

名古屋大学病院は、医師が画像診断の結果を見落とし、患者が約4年後に肺がんで死亡する医療事故があったと26日、発表した。名大病院は9月にも検査結果の確認不足で肺がん患者の治療が遅れ、死亡した事故を公表。石黒直樹病院長は「このようなことをくり返すことについて慚愧(ざんき)に堪えない。ご遺族におわび申し上げたい」と陳謝した。

名大病院によると、2011年2月、名古屋市の80代女性を耳のがんと診断した。転移を調べるため、全身のPET(陽電子放射断層撮影)検査も実施。診断した放射線科医が「肺に2カ所の影があり、肺がんの可能性を否定できない」として精査するよう報告書に記載した。だが、主治医は見落とし、女性は11年4月に耳のがんの手術だけを受けて退院した。

3年後の14年3月、女性が名大病院で経過観察のため胸のCTを撮影すると、末期の肺がんが見つかった。3年前に疑いが指摘された時点では初期段階だったという。名大病院は「正確な情報を共有したうえで治療すべきだった」として、不適切な診療行為があったと結論づけた。

名大病院では手術前のカンファレンス(症例検討会)で情報を共有するが、女性の主治医は別の手術で参加できなかった。このため耳鼻咽喉(いんこう)科内で別の医師らが検査結果などをチェックする機会を逸したという。主治医と担当医でダブルチェックするなど、情報共有の仕組みを強化しているという。(月舘彩子)

出典:朝日新聞DISITAL

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