熊大病院、がん検査結果を放置 患者の進行がん発見遅れる

 熊本大病院(熊本市)は21日、がんの疑いがある県内の60代の男性患者に実施した検査の結果を1年2カ月間放置したため、進行がんの発見が今年5月まで遅れる医療ミスをしたと発表した。

 同病院によると、見つかったのは膀胱[ぼうこう]がんで、最も病状が進んだ「ステージⅣ」。現在、同病院で抗がん剤治療を受けている。

 男性は2012年に同病院で前立腺がんの手術を受けた。17年2月の尿検査で再びがんが疑われたため、30代の男性担当医師=今年4月から別の病院に勤務=が、病理部に尿に含まれる細胞の検査を依頼した。しかし担当医師が失念し、検査結果を確認しなかったという。

 18年4月、病院内の別の部署からの指摘で結果の放置が判明。結果を確認したところ、新たながんが疑われたが、男性に連絡が取れなかった。結局、5月に男性が血尿が出たとして同病院を再受診し、膀胱がんと分かった。男性は6月に手術を受けた。

 同病院によると、男性と家族は「今は前を向いて治療に専念したい」と話しているという。男性側への補償は今後、話し合う。

 記者会見した谷原秀信院長は「男性やご家族に多大な迷惑をお掛けした」と謝罪した上で、「医師個人と組織・システムの両方に問題があり、再発防止に努める」と話した。(太路秀紀)

出典:熊本日日新聞

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