高知医療センターが事務ミスと医療ミスを報告

高知医療センター(高知市池)を運営する高知県・高知市病院企業団は、19日に開かれた企業団議会臨時会で、2015年度に事務手続きのミスで不必要な企業債を発行し、1億9300万円を重複して借り入れていたことを明らかにした。7月中にも繰り上げ償還する方針で、同額の補正予算案を提出し、全会一致で可決された。

企業団事務局によると、施設建設や大型機器を導入する場合、事業年度末に一括して企業債を発行して資金を調達する。今回のミスは決算作業の過程で6月に発覚。起債の済んでいた磁気共鳴画像装置(MRI)2台の購入費用を、2016年3月末に担当者があらためて起債対象に含めてしまったという。

企業債は、5年間にわたり償還するタイプで利率は0・046%。高知県・高知市病院企業団の試算では、4~7月に約3万円の利息が発生する。

議員から再発防止策などを問われた古味勉企業長は、「結果的に借りすぎておりチェックができていなかった。本当に申し訳ない。今後、確認を徹底する」と謝罪。利息約3万円の負担については、「ミスではあるが、やむを得ない経費として支出させてほしい」とした。

このほか臨時会では、議長を務めていた武石利彦氏(高知県議会議長)の企業団議員辞職(6月14日付)に伴う新議長に、浜田英宏氏(高知県議)を指名推選で選出。任期満了に伴う監査委員に宮本光教氏=高知市西塚ノ原=を再任した。

2015年11月に男性がベッドから転落し脳障害 後に死亡し遺族提訴

高知医療センターで2015年11月、入院中の20代男性がベッドから転落して重い脳障害を起こし、意識不明になっていたことが19日分かった。男性はその後死亡し、遺族が病院側を相手に訴訟を起こしているという。19日開かれた病院企業団議会の議員協議会で吉川清志院長が報告した。

高知県・高知市病院企業団事務局などによると、男性は重度の呼吸不全を患っており、入院翌日に転落した。吉川院長は「呼吸窮迫症候群の方がベッドから転落され、重篤な脳障害をきたした」と説明した。

病院側は一定の転落防止措置を取っていたとして、「病院の過失は無いと判断した。社会的影響なども考慮して(この事故に関しこれまで)個別に公表はしなかった」としている。

男性は転落から約3カ月後に死亡した。病院側は転落と死亡との因果関係については明らかにしなかった。取材に対して、吉川院長は「係争中のため詳細は答えられない」としている。

また、この事故を含め2015年10月~2016年3月に医療センターで起きた医療事故が、2015年同期比で71件多い1206件だったと公表した。

内訳は、高齢者の転倒などによる骨折が4件(2015年同期比1件減)、簡単な処置や治療を要した事例が237件(2015年同期比36件減)、処置や治療は必要なかった事例が376件(2015年同期比21件減)、身体に影響が無かった事例が588件(2015年同期比128件増)だった。

出典:高知新聞

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