薬害・医療被害の市民団体、100回へ カルテ開示など成果

薬害や医療ミスの被害者らで作る市民団体と厚生労働省との交渉が今夏、100回を迎える。1984年の第1回から年に数回実施され、市民団体と中央官庁がこれだけ長く話し合いの場を持ち続けているのは極めて異例だ。交渉はカルテやレセプト(診療報酬明細書)の開示を実現させるなど、数多くの成果を上げた。4日には大阪市内で記念集会が開かれる。

第1回は84年2月27日、衆議院第1議員会館で開かれ、19団体計80人が参加した。第1回からほとんどの交渉に出席している大阪市淀川区の岡本隆吉さん(74)は「とても寒い日だったが、交渉は熱気に満ちあふれていた」と思い出す。

71年11月に生後2カ月半の次男を医療ミスで亡くした岡本さん。同じ病院で被害に遭った遺族たちと被害者の会を結成した。民事裁判を起こし、82年に病院側が医療ミスを認めて和解が成立した。医療被害をなくそうと全国の被害者と交流。インフルエンザにかかった子供が解熱剤を服用して急性脳症などの症状を起こす「ライ症候群」の親の会などと連携し、厚生省(現厚労省)との交渉実現に力を注いだ。

交渉は、市民団体の代表らで作る実行委員会が、テーマに応じて担当職員と向き合う。診療情報や医療ミス、臨床研究、陣痛促進剤など問題は多く、朝から夕方まで1日かかる。第100回交渉は7月中に実施予定だ。

再発防止には「医療の情報公開」が必要と訴える岡本さんは「カルテの開示は患者の権利になったが、高額の手数料を徴収し事実上、その権利を制限している医療機関がある。これからも交渉を続けていきたい」と話す。

記念集会では、交渉に出席した被害者らが参加。患者のための医療改革を目指し交流を深める。大阪コロナホテル(大阪市東淀川区)で午後5時から。参加費は会食費を含め3000円。問い合わせ・申し込みは岡本さん(090・4546・4377)。【玉木達也】

出典:毎日新聞

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