国立病院機構長崎川棚医療センター(川棚町)は23日、入院患者に医師が指示した量の10倍のインスリンを投与する医療事故が起きたと発表した。患者はその後死亡した。同センターは「過剰投与が死因に関連した可能性がある」として遺族に謝罪するとともに、原因を調べている。

センターによると、患者は糖尿病などの持病があった80代女性。先月30日深夜、看護師が点滴用の液にインスリンを混ぜる際、指示では0・1ミリリットルだったインスリンを誤って1ミリリットル入れた。専用の注射器を使わずに測り、誤ったという。決められた複数人でのチェックも怠っていた。患者は点滴の開始から約8時間半後に死亡した。

今月2日、この看護師が別の患者用に点滴液を準備する際、専用注射器を使っていないことに同僚が気づきミスが発覚した。看護師は一連の処置が未経験で、処置方法を知らなかった。調査に「初めてということを知られたくなく、相談もできなかった」などと話したという。本来は8時間に1回の血糖値測定も実施せず、虚偽の数値をカルテに書き込んでいたことも分かった。

県庁で記者会見した宮下光世院長は「看護師の行為は大変遺憾で、亡くなった患者と家族におわびしたい」と話した。事故は医療事故調査・支援センターに報告し、検証するほか、川棚署にも相談しているという。【小畑英介】

〔長崎版〕

出典:毎日新聞