ことし7月、東京・武蔵野市の産婦人科病院で人工妊娠中絶の手術を受けた女性が6日後に死亡していたことがわかりました。女性の遺族は、執刀した医師が手術に必要な指定を受けていなかった疑いで警視庁に告発しました。
これは女性の遺族と弁護士が6日午後、記者会見をして明らかにしました。

それによりますと、東京・武蔵野市にある産婦人科の「水口病院」で、ことし7月、当時23歳の女性が人工妊娠中絶の手術を受けたあと体調が悪化し、6日後に自宅で死亡しました。手術との因果関係はわかっていませんが、執刀した男性医師は、中絶の手術をするのに必要な東京都の医師会からの指定を受けていなかったということです。

このため遺族は、指定を受けずに違法に手術を行った疑いでこの医師を6日、警視庁に告発しました。会見した26歳の夫は「胎児の発育が不十分だと説明があり、妻と話し合って中絶を決めたが、健康だった妻が急死したことには納得がいかない。本当に手術が原因ではなかったのか、病院の管理体制が適切だったのかを明らかにしてほしい」と話していました。

水口病院は、「このような事件を発生させたことを反省するとともに、深くおわび申し上げます。事件を厳粛に受け止め、再発防止に向け、全力で信頼回復に取り組んでまいります」とコメントしています。
病院は医師の手術を容認
水口病院によりますと、今回執刀した男性医師は、ことし8月から10月までの3か月間勤務し、合わせて12件の人工妊娠中絶の手術を行っていたということです。病院では、この医師が、必要な指定を受けていないことを把握していたものの、指定を受けていた当時の院長の責任のもとで、手術を行うことを容認していたということです。病院は認識不足だったとしていて、この問題を受けて当時の院長と執刀した医師はいずれも10月末で退職したということです。

出典:NHK NEWS WEB