医療事故調査制度

2017年7月までに674件の医療事故が報告 調査制度

今年(2017年)7月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は22件。一昨年(2015年)10月の医療事故調査制度スタートから、累計で674件の医療事故が報告され、このうち6割超(63.5%・428件)で院内調査が完了し、遺族や医療機関からのセンターへの調査依頼は累計で42件となった―。

こうした状況が、日本で唯一のセンターとして指定されている「医療安全調査機構」から9日に公表されました(機構のサイトはこちら)。

内科・整形外科・心臓血管外科で、それぞれ3件の医療事故が発生

医療事故調査制度は、事故の責任が誰にあるのかを追及するのでなく、事故の原因を究明することで「再発防止を目指す」仕組みとして、一昨年(2015年)10月にスタートしました。院長など医療機関管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」が発生した場合、管理者は事故発生の旨をセンターに報告します(例えば、極めて重篤な状態で救急搬送され、管理者が死亡を予期していた症例などは報告の対象外となる)。この報告を起点として、当該医療機関で事故原因の調査(院内調査)を行い、調査結果をセンターに報告するとともに、遺族への説明を行います(関連記事はこちら)。センターでは、事故事例を集積していく中で具体的な再発防止策などを練り、今年(2017年)3月に「中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―」を作成・公表しています(関連記事はこちら)。

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける
医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける

我が国唯一のセンターとして指定されている医療安全調査機構では、毎月、医療事故の報告状況を公表しています(前月の状況はこちら)。今年(2017年)7月には、医療事故が新たに22件報告され、制度発足からの累計報告件数は674件となりました。

7月の報告は、病院からが21件、診療所からが1件で、診療科別に見ると▼内科3件▼整形外科3件▼心臓血管外科3件―などで多くなっています。

2017年7月に、新たに22件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で674件の医療事故が報告されている
2017年7月に、新たに22件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で674件の医療事故が報告されている

医療事故が発生した場合、医療現場では「患者が予期せぬ死亡を遂げたが、センターに報告すべき医療事故だろうか?」「センターへの報告はどのように行えばよいのか?」といった疑問が生じると思われます。一方で遺族側の中には「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていない。隠蔽されているのでは?」といった不信感をぬぐいされない方も決して少なくないでしょう。そこでセンターでは医療機関や遺族からの相談に対応しており、今年(2017年)7月には、新たに150件の相談がセンターに寄せられました。制度発足からの累計は3429件となっています。新規相談の内訳を見ると、医療機関からが85件、遺族などからが53件、その他・不明が12件という状況です。

医療機関からの相談内容を見ると、「報告の手続き」56件が多く、医療機関からの相談の65.9%を閉めています。一方、「医療事故に該当するか否かの判断」は19件(医療機関からの相談の22.3%)にとどまり、制度の浸透、運用の改善(医療事故該当性の判断などを標準化するための「支援団体等連絡協議会」設置など)などの効果と言えます(関連記事はこちらこちら)。

もっとも、遺族などからの相談の中身を見てみると、依然として「医療事故に該当するか否かの判断」が最多で35件、遺族などからの相談の66.1%を占めています。この中には「制度開始前の事例」「生存事例」など、前述した報告対象に含まれないケースも入っており、「一般国民への制度周知」が重要なキーワードになると考えられます(関連記事はこちら)。

センターへの相談は2017年7月に150件あり、うち85件が医療機関から、53件が遺族などからのものとなっているが、相談の中には「制度の対象外の事例」も含まれている
センターへの相談は2017年7月に150件あり、うち85件が医療機関から、53件が遺族などからのものとなっているが、相談の中には「制度の対象外の事例」も含まれている

冒頭に述べたとおり、医療事故調査制度の目的は「再発防止」にあります。したがって、「事故が発生した医療機関自らが、原因究明に向けた調査を行う」(その際、院内のルールや医療内容を点検することになる)ことで、院内体制や職員の意識が改善され、事故防止につながると期待されます。今年(2017年)7月に新たに院内調査が完了した事例は14件で、制度発足からの累計では428件となりました。これまでに報告された全674件のうち63.5%で院内調査が完了している計算です。調査完了割合は、前月(2017年6月)とほぼ同水準(0.1ポイント増)で、調査スピードが頭打ちになっているのか、今後の状況を見守る必要があります。

医療事故を報告した医療機関のうち、院内調査が済んだものは2017年7月に14件、制度発足からの累計で428件で、報告された事故全体の63.5%となった
医療事故を報告した医療機関のうち、院内調査が済んだものは2017年7月に14件、制度発足からの累計で428件で、報告された事故全体の63.5%となった

ところで、遺族の中には「院内調査結果に納得できない」「院内調査が遅すぎる(何かを隠すために時間稼ぎをしているのではないか)」と感じる人もいると思われます。一方、医療機関側でも、小規模で「自力での院内調査が困難」というところもあります(医師会や病院団体などの支援団体がサポートを行う仕組みあり)。そこで、「遺族や医療機関がセンターに調査を依頼」できる仕組みも用意されています。今年(2017年)7月にセンターへなされた調査依頼は2件ありました。いずれも遺族からの依頼です。制度発足からの累計では42件(遺族から31件、医療機関から11件)となっています。このうち37件が「院内調査結果報告書の検証中」(院内調査が適切に行われたかの確認)、1件が「院内調査結果報告書検証準備作業中」、1件が「院内調査の結果待ち」となっており、センター調査も着実に進んでいることが分かります。

出典:メディ・ウォッチ

2016年11月に報告された医療事故は30件

今年(2016年)11月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は30件。昨年(2015年)10月の制度発足からの累計で453件の医療事故が報告されており、うち45%に当たる204件では院内調査が済んでいる。また遺族や医療機関からのセンターへの調査依頼は累計で18件となった―(前月の状況はこちら)。

こうした状況を、日本医療安全調査機構(日本で唯一のセンター)が9日に公表しました(機構のサイトはこちら)。

医療機関からセンターへの相談は、「手続き」に関するものが増加

昨年(2015年)10月に始まった医療事故調査制度は、医療事故の再発防止を目指し、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」すべてをセンターに報告するものです。事故が発生した医療機関で原因を調査し、その結果をセンターや遺族に報告。センターでは事例を集積して再発防止策などを練ります(関連記事はこちら)。

今年(2016年)11月には、医療事故が新たに30件報告され、制度発足からの累計報告件数は453件となりました。

11月の報告は病院からが29件、診療所からが1件で、診療科別に見ると▽外科8件▽内科4件▽消化器科4件―などとなっています。

2016年11月に、新たに30件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で453件の医療事故が報告されている
2016年11月に、新たに30件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で453件の医療事故が報告されている

 

制度がスタートしてから1年以上が経過しますが、医療現場には「死亡事例が発生してしまったが、これは報告すべき医療事故なのか?」「医療事故が生じたが、どのようにセンターに報告を行うのか?」といった、また遺族には「家族が病院で死亡したが、医療事故として報告されない。なぜなのか?」といった疑問が絶えません。そこで、センターでは医療機関や遺族からの相談にも対応していますが、今年11月に新たにセンターに寄せられた相談は163件で、制度発足からの累計は2153件となりました。内訳を見ると、医療機関からが84件、遺族などからが70件、その他9件となっています。

医療機関からの相談内容としては、「医療事故報告の手続き」が42件と最も多く、次いで「院内調査について」31件、「医療事故に該当するか否かの判断」16件などとなっています。制度の浸透によって、報告すべき事故か否かの判断に関する相談は減ってきており、この背景には、今年6月から実施されている「医療事故に該当するか否かの判断におけるバラつきを是正のための運用改善(支援団体等連絡協議会の設置など)」の効果もあると考えられます(関連記事はこちらこちら)。

また遺族などからの相談では、「医療事故に該当するか否かの判断」が47件と多くなっていますが、この中には「制度開始前の事例」「生存事例」など報告対象外のものも少なくなく、今後、国民全体に対して医療事故調査制度をさらに周知していくことが必要と言えそうです。

センターへの相談は2016年11月に163件あり、うち84件が医療機関から、70件が遺族からのものとなっている
センターへの相談は2016年11月に163件あり、うち84件が医療機関から、70件が遺族からのものとなっている

 

医療事故が発生した医療機関では、まず院内で原因究明に向けた調査を行います。今年11月に新たに院内調査が済んだ事例は21件で、制度発足からの累計で204件となりました。報告された全453件のうち45.0%で院内調査が済んでいる状況です。前月までに43.3%で院内調査が完了しており、院内調査のスピードが向上している状況が伺えます。

医療事故を報告した医療機関で院内調査が済んだものは2016年11月に21件、制度発足からの累計で204件で、事故全体の45%となった
医療事故を報告した医療機関で院内調査が済んだものは2016年11月に21件、制度発足からの累計で204件で、事故全体の45%となった

 

なお、遺族の中には院内調査結果に満足がいかない、あるいは院内調査がおそすぎると考える人も出てくることでしょう。また診療所など小規模の医療機関では、マンパワー不足などから院内調査を十分に行えない可能性もあります(医師会や病院団体などの支援団体がサポートを行う仕組みもある)。こうしたケースに備え、遺族や医療機関がセンターに調査を依頼できる仕組みも用意されています。今年11月にセンターへなされた調査依頼は2件で、いずれも医療機関からの依頼でした。制度発足からの累計では18件(遺族から13件、医療機関から5件)で、このうち16件では「院内調査結果報告書の検証中」(適切に院内調査が行われたかのチェック)、2件では「院内調査の結果待ち」となっています。

出典:メディ・ウォッチ

医療事故調1年 なぜ届け出が少ないか

医療事故の再発防止を目指す医療事故調査制度がスタートして一年たったが、年間の報告件数は当初予想の三割以下にとどまっている。肉親を失った遺族の心情に寄り添う仕組みにしたい。
「まだまだ、医療従事者が制度を理解しても、真剣に取り組んでもいないし、遺族側も疑問点をぶつけていくという風土になっていない」。「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」代表の永井裕之さん(75)はこう指摘する。
永井さんは十七年前、医療事故で妻を亡くした。東京都立広尾病院で、点滴中に誤って消毒液が投与された。病院側は事故を隠蔽(いんぺい)したが、最終的に関係者は刑事責任を問われた。
永井さんはその後、連絡協議会を立ち上げ、医療事故調査制度の実現を求めてきた。そして昨年十月、ようやくスタートした。
死亡事故が発生したら医療機関は第三者機関である「日本医療安全調査機構」に届け出なければならない。その後、自ら院内調査を行い、結果は遺族に説明。遺族は不服があれば、機構に調査を求めることができる、というのが主な仕組みだ。
しかし、事故の届け出件数は一年間で三百八十八件と、厚生労働省が想定していた年千三百~二千件を大幅に下回っている。
背景の一つに「医療事故とは何か」という定義の問題がある。調査の対象となるのは「予期しない死亡、死産」とされているだけで、具体例は示されていない。しかも、医療事故にあたるかどうかの判断を下すのは医療機関側だ。病院側が、面倒な院内調査や報告は避けたいと考えれば、おのずと届け出件数は少なくなる。
現在は複数の医療団体が独自のガイドラインを作成している。中には、薬の取り違えなど明らかな医療ミスが起こった場合でも、取り違えは一定の確率で起こるなどとして「予期できない死ではない」と主張している団体もある。
厚労省は六月、届け出基準の統一を目指し、医師会などによる協議会を設置することを決めたが、議論の難航は必至だ。
このほか、遺族が事故だと思っても病院などが認めない時に相談する窓口を第三者機関に設けることになった。ただ、第三者機関は遺族からの相談を医療機関に伝えるのみ。より中立性を高めるため、第三者機関が助言や指導ができるようにするべきではないか。
公正、透明で国民に信頼される制度に育てることが求められる。

出典:東京新聞TOKYO WEB

医療事故の届け出388件 制度開始1年、想定下回る

患者の予期せぬ死亡を対象とした医療事故調査制度で、第三者機関の日本医療安全調査機構は11日、9月に医療機関から「院内調査」が必要として届け出があった事案は前月比7件減の32件だったと発表した。制度は昨年10月に始まり、この1年間の累計は388件。厚生労働省は当初千~2千件と見込んでいたが、想定を大きく下回った。

制度を巡っては、患者が死亡した際、届け出が必要な事案に該当するかどうかについて判断にばらつきがあると指摘されている。医療現場では「調査は責任追及につながる」との懸念もあり、再発防止を目指す制度の趣旨が十分に浸透していない実態が浮き彫りになった。

出典:47NEWS共同通信

医療事故 届け出、病院間で差 調査制度1年

10月で開始から1年を迎えた医療事故調査制度。調査の仕組みができたことで明らかになる医療過誤がある一方、届け出や調査内容について病院間の差が大きいなど課題も多く、医療事故の遺族からは「信頼できる制度となるよう運用改善を続けてほしい」との声が上がっている。

「医療事故かもしれない。病理解剖をしたい」。川崎市の増田渉さん(65)は昨年10月、医師からこう告げられ、衝撃を受けた。

妻(当時71歳)が自宅で頭を打って動けなくなり、市内の病院に救急搬送された。検査の結果、心停止などで死亡の危険がある低カリウム血症が判明。体内にカリウムを注入する「中心静脈カテーテル挿入」という緊急処置が行われた。処置後間もなく血圧が低下し始め3日後死亡した。

病院は外部の第三者を入れた調査を実施。14ページの報告書をまとめ今年3月、増田さんら遺族に説明した。カテーテル挿入の際に、椎骨(ついこつ)動脈を損傷して生じた出血性ショックが死因とされた。

増田さんは「制度がなければ、ここまでの調査が行われ、情報が開示されることもなかっただろう」と一定の評価をするものの「病院側の視点に立った報告で十分に納得できるものではない」と話す。報告書では、経験の少ない研修医が緊急処置を担当した経緯や理由などに触れられていないためだ。

制度に基づき、増田さんは先月、厚生労働省指定の第三者機関「日本医療安全調査機構」にも調査を依頼した。しかし、期待できるかどうか懸念もある。

NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長の山口育子さんのもとには「病院が事故として届け出てくれない」との相談が寄せられる。

夫を亡くしたある女性は、病院に届け出を求めたが「過失の有無がはっきりしないので届け出ない」と説明された。制度では本来、過失の有無に関わらず届け出ることになっているが、病院が誤って解釈していた。

医療事故で母親を亡くした「医療の良心を守る市民の会」事務局長の川田綾子さん(45)は「ペラペラの報告書をまとめて終わりとする病院もあり、取り組みに大きな差がある。調査は病院やそこで働く医療者のためでもあることも踏まえて対応してほしい」と話す。【山田泰蔵、熊谷豪】

出典:毎日新聞

2016年7月に報告された医療事故は32件、累計317件

今年(2016年)7月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は32件で、制度発足(2015年10月)からの累計で317件の医療事故が報告された。また、院内調査が済んだ事例は累計で112件、センターへの調査依頼は同じく9件となった―。

こうした状況が、日本で唯一のセンターとして指定されている日本医療安全調査機構から9日に発表されました(関連記事はこちらこちら)(機構のサイトはこちら)。

317件の医療事故のうち35%で院内調査が完了、センターへの調査依頼は9件

医療事故調査制度では、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」すべてが報告対象になります。死亡事故であっても、例えば「処方薬に強い副作用があり、死亡する可能性が高いことを医療機関の管理者が予期し、患者・家族などに説明している」ような場合には、報告対象となりません。調査制度の目的は、当該医療機関やセンターにおいて「再発防止策」を探ることにあるからです(関連記事はこちら)。

調査制度は昨年(2015年)10月からスタートし、日本医療安全調査機構は医療事故の報告状況などを毎月公表しています。今年(2016年)7月には、医療事故が32件報告され、制度発足からの累計報告件数は317件となりました。

今年7月の報告は病院から31件・診療所から1件で、診療科別に見ると▽外科7件▽内科4件▽心臓血管外科3件―などという状況です。

2016年7月に32件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で317件の医療事故が報告されている
2016年7月に32件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で317件の医療事故が報告されている

また医療機関からセンターへの相談は、今年7月には139件寄せられ、制度発足からの累計は1520件となっています。内訳を見ると、医療機関から72件、遺族などから58件、その他9件となっています。医療機関からの相談内容は、「院内調査」に関するものが43件でもっとも多く、次いで「医療事故に該当するか否かの判断」(生存事例に関する相談など)20件、「医療事故報告に関する手続き」27件などが多くなっています。遺族などからの相談は「医療事故に該当するか否かの判断」(同)が40件と圧倒的です(複数回答)。

センターへの相談は2016年7月に139件あり、うち72件が医療機関から、58件が遺族からとなっている
センターへの相談は2016年7月に139件あり、うち72件が医療機関から、58件が遺族からとなっている

医療事故が発生した医療機関では、まず院内で調査を行います(関連記事はこちら)。今年7月に新たに院内調査が済んだのは20件で、制度発足からの累計で112件となりました。報告された全317件のうち35.3%で院内調査が済んでいる状況です。前月には32.3%で院内調査が済んでいたので、1か月で3.0ポイントアップしており、院内調査のスピードが上がっていると考えられそうです。

医療事故を報告した医療機関で院内調査が済んだものは2016年7月に20件、制度発足からの累計で112件となり、院内調査のスピードが上がっている状況が見える
医療事故を報告した医療機関で院内調査が済んだものは2016年7月に20件、制度発足からの累計で112件となり、院内調査のスピードが上がっている状況が見える

 ところで遺族の中には院内調査結果に満足がいかない人も出てくるでしょう。またとくに小規模の医療機関では、院内調査を十分に行えないところもあります(医師会や病院団体などの支援団体がサポートを行う仕組みもある、関連記事はこちらこちら)。こうした場合、遺族や医療機関はセンターに調査を依頼することが可能です(関連記事はこちら)。調査結果はもちろん依頼者にフィードバックされます。今年7月にセンターに調査依頼があったのは5件(遺族から3件、医療機関から2件)で、制度発足からの累計で9件(遺族から6件、医療機関から3件)となりました。

出典:メディ・ウォッチ

遺族意見記載なしが4割 医療事故調査報告、半年で提出49件

患者の予期せぬ死亡を対象とする「医療事故調査制度」で、第三者機関の日本医療安全調査機構(東京・港)は20日、昨年10月の制度開始以降の半年間に医療機関が提出した49件の報告書の分析結果を公表した。12%に再発防止策の記載がなく、遺族の意見を書いていないケースは44%に上った。

同機構の木村壮介常務理事は「きちんと調査すれば、再発防止策は出てくるはず。制度の趣旨が医療機関側に十分浸透していない」と指摘した。

昨年10月から今年3月までに医療機関が患者の死亡原因を調査し、同機構に報告書を提出したのは49件。このうち43件はなんらかの再発防止策を示していたが、3件は「再発防止策なし」とし、残る3件は何も記載がなかった。

制度に関する厚生労働省の通知は遺族からの意見があった場合、報告書に記載することを求めているが、遺族の意見の記載があったのは15件にとどまった。意見なしと記載されていたのが10件、言及がなかったのは22件だった。

同制度では「予期せぬ死亡」について「医療に起因すると疑われる死亡で、管理者が予期しなかったもの」と規定する。

半年間の状況では、患者が死亡してから医療事故として届け出るまで平均21.9日、最長は146日かかっていた。制度の対象になるかどうか、医師が判断に迷うケースも多いとみられる。

報告書の分析結果が公表されたのは今回が初めて。厚労省は現状を踏まえ、6月24日に医療法の関係省令を改正。対象となる死亡事例の明確化や調査報告書の書式統一を進めている。

同制度は1999年の東京都立広尾病院の点滴ミス事件など重大な医療事故が相次ぎ、中立的な事故調査機関の設立を求める声が高まったことから、2014年6月の医療介護総合確保推進法の成立で導入された。病院や診療所は診療行為に関連して患者が予期せずに死亡した場合「医療事故調査・支援センター」への届け出と、院内調査の実施が義務付けられた。

今年6月までの9カ月間の同制度に基づく医療事故の届け出は285件だった。現状のペースだと年400件程度にとどまり、制度設計の段階で予想していた年1300~2000件を大幅に下回る見通しだ。

出典:日本経済新聞

医療事故調の制度見直しで意見募集- 15日まで、厚労省

厚生労働省は、昨年秋に始まった医療事故調査制度(医療事故調)について、日本医療安全調査機構が運営する「医療事故調査・支援センター」と医師会や病院団体などの支援団体が意見交換する「協議会」の設置に向け、省令の改正案に対する意見を募集している。期間は15日まで。【敦賀陽平】

医療事故調について定めた医療法の附則では、公布後2年以内に制度の見直しを検討し、法制上の必要な措置を講ずるとしており、24日にその期限を迎える。制度の見直しに関しては与党内で協議が進み、厚労省は9日の社会保障審議会の部会で改善案を報告した。

協議会の設置は、医療事故かどうかの判断や、医療機関内での調査の方法などの標準化を図ることが狙い。各都道府県に1カ所ほどを設け、各団体の支援や調査の状況について情報共有などを行うほか、中央レベルとの連携も進める。病院などの管理者への支援がスムーズに進むよう、必要な場合は研修会を開いたり、支援団体を紹介したりする。

改正案ではまた、医療事故の死亡事例に関する院内調査を適切に行うため、医療機関の管理者に対して、調査体制を整備することを明確化している。

意見募集は原則30日以上だが、今回は7日間と期間が短い。厚労省は「限られた期間の中で多数の関係者の議論を踏まえ検討する必要があり、いかなる内容の措置を講ずるか整理を行うのに時間を要した」としている。

出典:医療介護CB NEWS

医療事故調制度 届け出対象基準統一で連絡協設置の省令

医療死亡事故の届け出を全医療機関に義務付けた医療事故調査制度の見直しで、厚生労働省は24日、届け出対象の基準統一を目指して、関係団体による連絡協議会を設置する省令を定めた。

医療機関が判断に迷った事例について、各都道府県の協議会が意見を述べる。都道府県レベルでの判断が難しい場合は、国レベルの協議会に委ねる。事例の積み重ねを通じて、認識の共有化を図るという。統一基準のリストを作るかどうかは決まっていない。

また、遺族が医療死亡事故について自ら届け出ができないことの改善策として、厚労省は同日、病院が医療事故に該当しないと判断した場合は、遺族に理由を説明するよう、都道府県を通じて医療機関に通知した。

昨年10月に始まった同制度の届け出は、年1300〜2000件を想定していたが、今年5月末までの8カ月間で251件にとどまっている。【熊谷豪】

出典:毎日新聞

医療事故届け出の基準統一へ、協議会設置 自民党が提言

昨年10月に始まった医療事故調査制度の見直しを検討してきた自民党の作業チームは24日、医療事故かどうか届け出る基準や院内調査の進め方を統一するため、医師会や病院団体などと第三者機関「医療事故調査・支援センター」で連絡協議会を設けるなど5項目の提言をまとめた。センターが遺族から相談を受けたとき、同意を得た上で相談内容を医療機関に伝えられることも盛り込んだ。厚生労働省は実施状況も踏まえて、6月までに運用の見直しを検討する。

提言は、「支援団体等連絡協議会」(仮称)の設置による医療事故の届け出基準などの統一化▽医療機関の管理者が院内の全死亡事例を把握できる体制づくりの明確化▽支援団体や医療機関の研修充実や優良事例の共有▽医療機関の同意を前提にセンターから院内調査報告書の内容の確認・照会を可能にする、など。

連絡協議会は各都道府県などに設けられる。厚労相が認める医師会や病院団体、学術団体などからなる支援団体とセンターが参加し、医療事故に該当するかどうかの判断基準や院内調査の方法などについて、情報や意見交換をしながら統一していく。

医療事故の届け出基準をめぐっては医療・病院団体ごとに基準が異なり、事故の届け出が想定より少ないという指摘があった。

異状死の警察への24時間以内の届け出を義務づけた医師法21条については「議論は深まったが最終結論は出なかった」といい、夏の参院選後に議論の進め方について作業チームで話し合う。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(寺崎省子)

出典:朝日新聞DISITAL