県立がんセンター(横浜市旭区中尾)で2008年、手術中に麻酔器の酸素供給管が外れ、女性患者が意識不明の重体となった医療事故で、横浜区検は30日、業務上過失傷害の罪で麻酔担当の男性医師(42)を略式起訴したが、横浜簡裁(岩田和壽裁判官)は同日、「略式不相当」と判断した。今後、医師は正式な裁判で審理される。

起訴状によると、医師は08年4月16日、乳がん治療で乳房部分切除などの手術を行うに当たり、女性患者=当時(44)=に全身麻酔を施した後、患者の状態を注視しなければいけない立場にありながら怠り、手術室を退室。麻酔器の酸素供給の管が患者から外れたにもかかわらずその状態を18分間放置し、女性を低酸素脳症に陥らせ、完治不能の高次脳機能障害と四肢不全麻痺(まひ)の傷害を負わせた、とされる。

同事故をめぐっては、11年1月、県警が医師と、手術全体を統括していた男性執刀医(39)の2人を業務上過失傷害の疑いで書類送検していた。区検は、執刀医については「嫌疑不十分」として不起訴処分とした。

出典:カナロコ