福井県立病院は25日、1999年に胆石で胆のう摘出手術を受けた福井県越前市の60代男性の腹部に、ガーゼを15年以上置き忘れる医療ミスがあったと発表した。男性が昨年秋に腹痛を訴え置き忘れが判明。ガーゼ摘出手術を受けて回復した。24日に男性との示談が成立した。

福井県庁で会見した同病院の山夲龍市事務局長らによると、99年3月の手術時、胆のうを摘出しやすくするため、肝臓の位置をずらす際にガーゼを肝臓脇に挿入、そのまま放置した。通常は術前、術後にガーゼの枚数をチェックするが、その確認作業も忘れていたという。山夲事務局長は「予定していた腹腔(ふくくう)鏡手術を開腹手術に切り替えたことで現場が混乱した」と説明した。

男性は昨年11月中旬に軽い腹痛を覚えて県立病院を受診し、ガーゼの置き忘れが分かった。公表が約1年後となったことについて病院側は「男性と示談交渉中で、影響が出ないようにした」と説明。示談金の額については「男性側の意向で公表を控える」とした。

当時執刀しガーゼを置き忘れた男性医師はすでに退職しており、処分対象にはならないという。

同病院はミス防止策として、2009年度から術後には必ずエックス線検査を行い、残留物がないか確認している。同病院の村北和広院長は「心からおわびを申し上げる。今後はさらに医療技術の研修を重ね、医療の質の向上に努め、県民に信頼される病院を目指していく」とのコメントを発表した。

出典:福井新聞