慈恵会医科大学附属病院の青戸病院からの医療事故報告

2002年に慈恵会医科大学附属病院の青戸病院で、手術により60歳男性患者が脳死となり1ヶ月後に死亡するという医療事故がありました。

前立腺癌の患者に対し、担当医師3人が腹腔鏡手術を行いました。しかし、うまくいかずに大量の術中出血を起こし、それでもより確実な開腹手術をせずに腹腔鏡下手術を続行し、開始からほぼ12時間後にようやく切り替えました。このため、手術終了後に患者は大量出血による脳死状態になり、約1カ月後の12月8日にお亡くなりになりました。

腹腔鏡下手術とは、腹腔鏡という医療器具を用いた高度先端医療です。これは、従来の開腹手術と比較して、患者の負担が小さく、術後の臥床期間を短縮することができるメリットがあります。しかし、手術の術野が狭く、遠近感が掴み難いなど難易度が高いというデメリットがありました。

この医師ら3人は腹腔鏡下手術の執刀経験がなく、さらに悪いことに、1名だけは以前に腹腔鏡手術の助手を2回務めていたが執刀医として実施したことはなく、他の2名の医師に至っては腹腔鏡手術の見学すらありませんでした。にもかかわらず、手術を無理に進め、患者を死に至らしめた事故であります。

 

この事故に対して、慈恵医大病院は、青戸病院医療事故のお詫びと題して、報告書を開示しています。概要としては、謝罪はもちろんのこと、事故の原因についての説明、ご家族に対する説明不足があったこと、院内の体制についての不備など、多角的に観点から報告がなされていました。さらに、今後の再発防止策も記載されており、過ちを認め、真摯に受け止めていることが感じられました。

もちろん、ご遺族にとっては到底許しがたいことではあることでしょう。亡くなられた患者さま、ご遺族のかたがた、お悔やみ申し上げます。

しかし原因を明らかにし、受け止め、今後の改善を図ろうとする本病院は、良い対応なのではないかと思います。こうした医療に対する誠意ある意識が、医師、病院、医療界全体へと徐々に広がっていけば良いと思います。広がっていくべきです。

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